2024年度理事長所信

第70代理事長 佐藤 洸太  一般社団法人長岡青年会議所

基本理念
「行動・協働・運動」
〜私たちにしかできないことをひたむきに、
一人ひとりの志が、地域の未来を変えていく〜

ビジョン
「誰もが希望を持ち続けられる長岡の創造」

スローガン
「共感」
~地域に希望をもたらすリーダーになろう ~

第70代理事長 佐藤 洸太

未来とは、今である。

戦争、紛争、エネルギー問題、気候変動に伴う自然災害や食料問題等、世界の遠い地域の出来事が、私たちの住み暮らす地域にまで影響を及ぼす時代となった。

2050年、そう遠くない未来、世界の人口は100億人に達する。 これまでの社会・経済システムのままでは、地球がいくつあっても足りないことは明らかである。

この10年が人類生存の分かれ目と言われている。

“われわれJAYCEEは 社会的・国家的・国際的な責任を自覚”しなければならない時が来ている。
今こそ、JCの真価が問われている。

悲劇のシナリオを迎えないために。
人々が幸せに生き、誰一人取り残されない、平和で持続可能な社会を築くために。
誰もが希望を持ち続けられる未来のために。

必要なのは、リーダーだ。

【希望をもたらす変革の起点として】

 現代は、急速に発展するテクノロジーや自然災害、戦争、疫病等、変動(Volatility)があり、不確実(Uncertainty)で、複雑(Complexity)で、曖昧(Ambiguity)な時代であることを称してVUCA時代と言われています。多くの課題や問題は、様々な要因が複雑に絡み合い、ネガティブな連鎖を起こしながら、私たちの地域に影響を及ぼしています。しかしながら、様々な要因が複雑に関連しているのであれば、解決のためのアクションを起こし、波及効果を生み出すことで、ポジティブな連鎖をつくることもできるのではないかと考えます。
 持続可能な社会は、まずは私たちの住み暮らす地域がより良くなり、誰もが希望を持ち続けられるようになることから始まると考えています。誰一人取り残されず、誰もが幸せに生きることのできる地域をつくりたい。そのためには、リーダーが必要です。地域や社会、大切な誰かのために自らが率先して行動し、周囲に共感と影響の輪を拡げていくリーダーは、地域に希望をもたらす変革の起点となります。変革は一人の志と行動から始まり、志に共感した人々が集まり協働が生まれ、運動に発展していきます。そのようなリーダーが活躍する地域は、ネガティブな連鎖の影響を受ける地域から、ポジティブな連鎖をつくり出し、周囲に良い影響を与えていく地域へと、必ずや変わっていくと信じています。リーダーシップの開発と成長の機会を提供することをミッションに掲げている組織として、社会的・国家的・国際的な視点から地域のことを考え、行動を起こすことができるリーダーを輩出していきます。

〈理念が浸透した組織へ〉

 VUCA時代において組織に必要なことは、向かうべき方向性や組織として大切にすべき価値観が共有されていることです。方向性や価値観が共有されることで、環境の変化が起きても常に一貫した対応をとることができます。そのためには、JCの理念が、メンバー一人ひとりに浸透している必要があります。近年は平均在籍年数が短期化し、コロナ禍に入会したメンバーが組織の半数以上を占めています。日本JCの2022年の調査によると、JCI Creed・JCI Mission・JCI Vision・JC宣言・綱領を理解しており、他者に説明できるメンバーは半数程度となっており、理念の浸透が課題となっております。理念は、JC運動の根本です。理念が浸透することは、メンバー自身が何のためにこの組織に所属し、何を成し遂げようとしているのかを考えることができるとともに、活動を通じて地域や社会により良い変化をもたらすことができると考えます。
  長岡青年会議所(以下、長岡JCとする)は、2025年に設立70周年を迎えます。理念の浸透を図るとともに、長岡JCの存在意義やアイデンティティを考え、向かうべき方向性や大切にする価値観を共有する機会が必要だと考えます。そうすることで、意見の対立が起きた時も、常に組織の最上位の目的に立ち返ることができ、力強い運動展開と目的思考を持ったリーダーの輩出ができる組織となります。理念が浸透したメンバーがいきいきと活動し、地域や社会により良い変化をもたらす組織をつくっていきます

〈持続可能な組織へ〉

  近年、長岡JCのメンバー構成は、会社の承継者だけでなく、創業者や個人事業主の割合が増えてきています。メンバーの職種や業種も多様化しており、メンバーの誰もがいきいきと活躍できる持続可能な組織運営が必要です。多様なメンバーが活躍することで、組織が活性化し、地域や社会により良い変化をもたらす運動を起こすことにつながります。
 そのためには、事業構築と会議の効率化を図り、時間を意識しながら有意義なものにしていくことや、メンバーが参画しやすい環境づくりを行う必要があります。メンバーの誰もが参画し活躍できることは、多くのメンバーの意思が反映された事業構築が可能となります。また、家庭や仕事を両立しながら活躍するメンバーが増えることは、周囲からの理解や応援にもつながります。支えていただいている家族や会社から、応援されながら送り出してもらえるような持続可能な組織をつくっていきます。

〈共感される組織へ〉

 近年、ソーシャルメディアの普及により多くのSNSが登場しました。SNSは人や組織がつながりあうプラットフォームとして存在し、個人や組織がアクセスし、発信することができるコミュニティとなっています。個人や組織がつながりあうプラットフォームだからこそ、時にはその発信が共感を生み、大きな広がりをつくりだします。SNSは、活動・運動の発信や、事業の効果を高めることができるとともに、支援・応援していただく機会や、協働にもつながります。長岡JCは、近年、発信力の強化に取り組んできました。組織としても、個人としても、事業等の発信が増えており、活動や運動の認知にはつながっておりますが、より共感を生み出す発信を戦略的に行っていくことで、さらに支援や応援していただき大きな運動を起こすことができるのではないかと考えています。大切なことは、社会とのつながりを意識し、共感を生み出すことです。そのためには、対象となるターゲットに必要な情報を届けることのできる仕組みづくりが必要です。
  また、共感を生み出し、共に活動したいと思われる組織となることは、会員拡大にもつながります。JCは、青年にリーダーシップ開発と成長の機会を提供するプラットフォームであり、会員拡大は、地域や社会により良い変化をもたらすリーダーを輩出していくために必要です。だからこそメンバー一人ひとりが会員拡大に向き合い、志や魅力、自身の成長を言語化し、伝えられるようになれば、より魅力的な組織となります。また、入会後もリーダーとして成長していくためにフォローアップを行っていけるように仕組みをつくる必要があります。共に活動したいと思われ共感される組織をつくっていきます

〈志あるところに人は集まる〉

 2022年度JCI世界大会において、新しいJCI Mission・JCI Visionが採択されました。新しいJCI Missionでは、「青年が社会により良い変化をもたらすためのリーダーシップの開発と成長の機会を提供する」と謳われています。これは、JCが変化する社会に対応できるリーダーを育成する組織であるとともに、青年が社会により良い変化をもたらすための力、つまり、運動を起こすことができるようになるためのリーダーシップの開発と成長の機会を提供することが謳われています。
  運動を起こすためには、その運動のエンジンとなる志が必要です。志は、その先により良くなってほしい未来や社会、大切な誰かの存在があります。何のために、誰のために、なぜ、JCをしているのか。自らの志を語ることのできるリーダー、つまり、周囲に共感と影響の輪を拡げ、メンバーの内発的動機付けを高める目的思考を持ったリーダーの育成が必要です。優れたリーダーの言葉はすべて「WHY」から始まります。人々の心を動かし、行動に駆り立てる。そのようなリーダーを輩出していく組織となれば、地域は必ず良くなると信じています。志あるところに人は集まります。地域の未来を変えていく、志あるリーダーを育成していきます

〈地域や社会に必要とされ続けるリーダーへ〉

 JCでリーダーを経験することは、自身が大きく成長することのできる機会の一つです。会社とは違い、報酬のない中でリーダーとしてチームを動かしていくことで得られる経験や能力、共に活動したメンバーとの友情は、自身の一生涯の財産になります。
  近年は、社会状況の変化により、指示を出して管理する管理型の組織から、メンバーのやる気を引き出す自律型の組織へと組織のモデルチェンジが起き始めています。それに伴い必要とされるリーダーシップも変化してきています。自律型組織で必要なリーダーシップは対話と心理的安全性を高めることです。グーグルの生産性改革プロジェクトのプロジェクト・アリストテレスは、チームの生産性を最も高めるのは心理的安全性だと結論づけました。メンバーに志を伝え、やる気を引き出す。対話を繰り返しながら、関係性を構築していく。本音を言い合える関係をつくるために、組織の心理的安全性を高めていく。そのようなリーダーが、誰一人取り残さない持続可能な社会を実現していくうえで求められています。メンバーが成長を実感できる組織となり、地域や社会に必要とされ続けるリーダーを育成していきます。

〈互いに高めあう関係づくり〉

 JCは、メンバーの会費と時間を使って、活動・運動する組織です。だからこそ、事業や例会はより効果の高いものであるべきだと考えます。そのためには、メンバーの関係性の質を高めることが大切です。やらされていると感じる状態よりも、前向きな気持ちで活動をするメンバーが多いほうが、パフォーマンスは向上し、事業や例会の効果も高まります。メンバーの大切なお金と時間を使っているからこそ、メンバー同士のコミュニケーションを大切にし、相互理解の機会をつくる必要があります
  長岡JCがこれまで実施してきた長岡まつり事業や各地域の祭りへの参画は、対外的な効果だけでなく、組織の一体感やメンバー同士の友情を深めることができます。メンバー同士の友情は、互いに切磋琢磨し、さらなる成長を求めることにつながります。
  また、JCには出向や、地域で活動する各団体の方と関わる機会があります。出向には他の地域のJCメンバーと出会いを通して自身の成長や友情の機会があります。地域の団体との関わりは、同じ地域で活動する方との出会いの機会であり、今後協働することができる可能性もあります。どちらも、JCでしか得られない機会であり、自身の大きな財産になります。たくさんの出会いを活かし、成長につなげていくリーダーを育成していきます。

〈誰もが当事者になれる長岡へ〉

 長岡市の面積は約891k㎡で、面積の三割が旧長岡、残り七割が支所地域です。しかしながら人口は約七割が旧長岡、残り三割が支所地域という割合です。支所地域の人口減少は加速しており、このままでは七割の地域の維持保全ができなくなり、やがて衰退に向かいます。しかしながら、旧長岡も支所地域も一つの長岡市であり、持続可能な社会を実現するためには、どの地域も置き去りにすることはできません。まずは、それぞれの地域の課題を共有し、どのような未来を描いていくか。旧長岡も支所地域も共通の長岡市のビジョンをつくることが必要と考えます。共通のビジョンをつくることで、目指すべき未来像へと向かって進んでいくことができます。そして、ビジョンは各地域の住民や行政、若者等、多くの市民を巻き込み、市民協働でつくっていくことに意味があります。その過程で、多くの市民の地域への愛着を育てることができます。これは、責任世代である私たちJCの、私たちにしかできない運動を起こすことであり、社会に対して大きなインパクトを与えることができると考えます。この運動は、多くの市民を巻き込んで展開していくため、単年度で実施せず、2か年計画で進めていく必要があります。ビジョンは地域の未来像であり、希望そのものです。より多くの市民が当事者になり、希望を持ち続けられる長岡を目指します。

〈日本の「長岡」から世界の“Nagaoka”へ〉

 日本政府観光局によると、日本を訪れた外国人旅行者は2023年1月から6月の累計で1071万人と、上半期としてはコロナ禍前の2019年以来1000万人を超え、インバウンドは今後も伸びしろが大きいことが期待できます。長岡は、海・山・川に恵まれ、豊かな食文化や自然風景など、市内11地域に多くの魅力があります。また、長岡まつりをはじめとする各地域の個性溢れるまつりやイベント、地域の魅力を体験できる観光コンテンツ等の豊富な地域資源には大きな可能性があります。長岡の誇るべき地域資源を活用し、世界に届けるためには、まずはどのような課題があるのか調査・検証していく必要があります。
  外国人旅行者の増加は大きな経済効果を生み出すため、地域の持続可能性にもつながる大きなチャンスです。また、誘致に向けて動き出すことで、地域間の新たな連携や交流が始まり、活性化が促進されていくと考えます。日本の「長岡」から世界の“Nagaoka”へ、外国人旅行者の誘致に向けた取り組みのアクションを起こし、市民協働で運動を展開していきます。

〈循環型経済・社会の実現〉

  人類が地球環境に与えている「負荷」の大きさを測る指標である「エコロジカル・フットプリント」によると、2014年時点における世界全体で消費している資源は、地球1.7個分に相当し、地球への環境負荷が深刻な状況となっています。これまでの社会・経済システムでは、地球が限界を迎えることが目に見えています。世界では、使って捨てる「直線」型経済から、使い続ける「循環」型経済へとグローバル企業をはじめ、多くの企業が舵を切っています。このような持続可能性を志向した、社会性と経済性が両立したビジネスモデルは日本国内でもスタンダードになりつつあります。そしてそこには新たなサービスやビジネスの発想による起業や産業の創出等、地域経済再興の可能性が秘められています。
  長岡市も「長岡市カーボンニュートラル チャレンジ戦略2050」を2023年3月に策定しました。長岡には米百俵の精神に代表されるように、目先の利益ではなく未来志向で地域を発展させてきた誇るべき歴史があります。また、4大学1高専があり、モノづくり企業の多い地域性を活かし、2018年には産学官連携の拠点である「NaDeC BASE」が開設されました。
  循環型経済・社会の実現に向けて、多様な業種や職種のメンバーが所属しているJCだからこそ、多くのつながりを活かし、行政や様々な団体と協働しながら起点となるアクションを起こしていく必要があります。先人から受け継いだ精神性と、産学官連携を活かし、全国に先んじて社会性と経済性が両立したビジネスが溢れ、全国から起業者や人材が集まってくる地域を目指します。

〈子供たちの当事者意識を育てる〉

  2019年、日本財団が行った日本を含む9カ国、17歳から19歳の男女を対象とした「社会や国に対する意識調査」によると、「自分が責任ある社会の一員だと思う」という問いに対して「はい」と回答した割合は、ほとんどの国が80%を超えている中、日本は44.8%と大きな差をつけて最下位でした。社会に対する当事者意識が低いと、自身が生活する地域や社会に関心を持てず他人事になってしまいます。子供たちの地域への愛着と、自分たちの地域は自分たちがより良くしていくという意識の醸成が必要です。度重なる困難にも、未来を見据えて乗り越えてきた長岡の歴史と精神性から子供たちが学ぶことはたくさんあると考えます。長岡は、県内で唯一大規模空襲を受けた戦災都市です。誰一人取り残されない、平和で持続可能な社会を実現するためには何ができるのか。子供たちが地域や社会に対して一人の当事者として関わることのできる機会をつくることが必要です。地域や社会との関わり合いの中で子供たちが主体性を発揮し、子供たちの誰もが未来に対して希望を持ち続けられる地域を目指していきます。

〈第66回地区フォーラムの主管〉

  2016年のブロック大会以来、コロナ禍もあり、長岡JCとして大きな大会を主管する機会を経験できていません。また、出向に関しても、限られたメンバーしか経験ができておらず、出向の魅力や各協議会とのつながりが希薄になりつつあります。
  2025年の設立70周年を迎える前に、大きな大会を主管することは、組織として大きな経験値を積むことができ、メンバーの成長と友情の機会にもつながります。また、県内外から多くのJCメンバーが訪れるため、他地域のJCメンバーとの交流や長岡の魅力の発信と経済効果につながります。地区フォーラムの主管することで、長岡JCの底力を発揮し、北陸信越地区に希望をもたらし、メンバーが誇りを感じることのできる組織にしていきたいと考えています。大きな事業をメンバー皆で乗り越えたい、メンバーの自信と、組織への誇りを感じてほしい、長岡JCを次のステージへ進めたいと考えています。組織の進化とメンバーの成長と友情、地域の発展のために、地区協議会と連携して「公益社団法人日本青年会議所北陸信越地区協議会第66回地区フォーラム」を主管します。

【最後に】

JCが20歳から40歳までなのは理由がある。

志を描き、使命に燃え、創造的で、全力でいられるからだ。

「国がおこるのも、滅びるのも、まちが栄えるのも、衰えるのも、ことごとく人にある」。

未来を変えてきたのは、いつの時代も青年の志だ。

未来とは、今である。 私たちにしかできないことをひたむきに。

希望をもたらす変革の起点として。

    

理事長 PROFILE

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理事長 佐藤洸太

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